【牧師の本棚vol.3 『偶然と想像』(2021年、濱口竜介監督)】
本作は、米国アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』と同じ2021年に公開されましたが、私はこちらの方が好みです。こちらはベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞しています。本作は「偶然」と「想像」をテーマにした3つの短編で構成されています。タイトル通り、私たちの日常にも偶然が溢れています。しかし、そこにある種の想像が働くときに私たちは「運命」「神のいたずら」などと感じるのではないかと思います。それはキリスト者にとって「神の導き」と言えることかもしれません。聖書においてイエスに出会った人々は、当人たちにとっては偶然に出くわしたような気持ちだったのではないでしょうか。しかし、偶然と思えるところに神の計画が確かに働かれていることを私たちは信じます。私は、教会が「偶然」をたくさん起こす器であってほしいと願います。私たちに神の計画をコントロールすることは出来ませんが、偶然の中で出会う人が、出来事が、神の出来事となることがあると思うからです。